試合が終わったはずのリング上では、虎の格好をした選手……一虎(イチゴ)が何人もの選手に捕まって打撃を加えられている。タッグパートナーであるライオンマスクの覆面レスラー(ということになっている)獣王バーニングレオさんは、場外で凶器攻撃を喰らってしまい倒れている。セコンド陣もみんなやられてしまっていて、助けに入れる者はいなかった。  動かなくなった一虎に対し、とどめとばかりに豪快な投げ技を決めるとリーダー格らしい外国人選手(好みかどうかは別として、わりとハンサムではある)がマイクを持って英語で喋る。残念ながら何を言っているのか俺には分からなかったが、いかにも悪役っぽいことを言っているようだ。  このプロレス団体、レスリング・ビーストでは現在、外国人中心のヒール軍団、ビーストハンターズが大暴れしている。国内外の別団体で活躍した実力のある選手ばかりなので普通に戦っても強いはずだが、様々な反則行為を行い無理矢理勝ちをもぎ取る悪役らしいやり方でチャンピオンベルトを奪ったりしている。  レオさんらが所属するビースト軍と、かつてはヒールだったブルート軍。ここのところどちらもハンターズにやられっぱなしで、それをずっと見せられている観客達も暗く沈む。会場内にはハンターズのテーマ曲が流れ続け……ていたが、それが急に止まり、別の曲が流れ始めた。あれ、俺も聞いたことあるような。  それと同時に、入場口から誰かが走ってくる。リングにひょいっと上がり、トップロープの上から跳んで両脚で蹴るミサイルキック。ハンターズのリーダーを蹴り飛ばすと、そのすぐ後に何人かが入ってきて残りのハンターズを蹴散らす。最初に入ってきた大柄な人がマイクを拾った。 「お前ら、随分好き勝手にやってやがるな。気に食わねえから、俺様がぶっ潰しに来てやったぜ」  と、偉そうに喋るのは身体が大きくて分厚く、恐い顔の男。この団体の選手ではないはずだが、俺でも知ってる有名な人だ。国内最大手プロレス団体の選手で、名前は確か……歳桃刀鉄(サイトウ・トウテツ)。現役のプロレスラーだが、それ以外のテレビ番組とかでも時々見かける。ニックネームは『鋼のキマイラ』とかそんな感じだっけ?  続けて入ってきた選手達も同じ団体の人達っぽいけど、そっちはよく知らなかった。一人は背は高くないけどかなりごつくて肉厚な体型で、顔はなんだかだるまっぽい。あとの二人はどちらもヒーローっぽいコスチュームだが、一人は古いタイプの全身タイツ系で赤系。もう一人はノースリーブで、デザインは少し現代風な感じなのかな。色は緑色だ。  刀鉄さんの言葉に英語で何やら応えるハンターズ。刀鉄さんもそれに英語で返し、二人で何度か言葉のやりとり。やがてハンターズが退場すると、刀鉄さんはレオさんをリング上に引きずり上げてから再びマイクを手にする。 「レオさんよ、あんな連中にいいようにやられて、悔しくねえのか?」 「……悔しいに……決まっているっ! あんなやり方でベルトを奪われて、今日もまた負けてしまった……この屈辱は、しっかり返さねばならない。次はどんな反則行為をされようともベルトを取り返す!」  刀鉄さんからマイクを奪ったレオさんが、見ている観客に向けてなのか、自分に向けてなのか。力強く宣言する。そしてマイクを刀鉄さんに返すと、リングを降りようとする。それを引き留めて、刀鉄さんがどこかへ向けてしゃべり出す。 「まだ話は終わっちゃいねえ。もうちょっとそこで待ってろ……さて。聞いてるんだろ、ケダモノ共! お前らもあんな連中にいつまでもデカい顔されてるのは気に食わねえだろ。ちょっと出てこいよ」  その言葉を聞いて出てきたのは、鬼っぽい覆面を被った作務衣姿の大男。ブルート軍のエース、悪鬼羅(アキラ)さんだ。あ、様って付けないといけないんだっけか。その悪鬼羅様がのしのしと歩いてリングへ上がる。刀鉄さんにマイクを渡されると、それをつまむように持って話し始めた。 「無論、彼奴等の存在は我も見過ごすことはできぬ。此方も手段を選ばずに戦うべきかと思っていたところだが……どうやらそこまで堕ちる必要はないようだな」  その言葉を聞いて、刀鉄さんがにやりと笑う。レオさんは表情を変えず、悪鬼羅様をじっと見つめている。 「だが……貴様と組む前に、確かめねばならぬ。我とこの獅子と、組むに値する男であるのかどうか。饕餮(トウテツ)よ、その力を見せてみろ!」  それを聞いた刀鉄さんはマイクを受け取ると、堂々と言い放った。 「よし、やってやる。お前ら二人のタッグと、俺とそこのマスカラ・ワサビのタッグマッチだ。お前らをぶっ倒して、俺様の『レンジャー・クラブ』の一員にしてやるぜ!」  ということで、後日そんな試合が組まれるようだ。ライバル関係だったレオさんと悪鬼羅様が組んで戦うのかー。楽しみだ。  その後も少し言葉のやりとりがあってから、選手が退場していく。今日も友人である一虎こと日向陽助(ヒムカイ・ヨウスケ)に会いに行くという名目で控え室へ。しかしどうやら陽助もレオさんもいなかった。どこにいるのか聞きたかったけど、今日は刀鉄さんらが来たこともあって団体関係者やプロレス記者なんかがいつもより多く、みんな忙しそうだったので諦めた。しばらく待ってみたけど二人とも現れず。今日はもう帰ろうかと思っていたら…… 「誰か待ってるのか?」  声のした方を見ると、いつの間にかそこにはTシャツにジーンズ姿で差し入れを物色する刀鉄さんがいた。イチゴをチョコで包んだ菓子を発見し、封を開けて口に放り込む。恐らく一虎への差し入れだ。そう言えば刀鉄さんはフルーツとか好きだったんだっけ。 「あ、その、ええと……友人がここでプロレスやってて。試合が終わった後、よくここに会いに来てるんですけど……」 「ビーストのレスラーはもうほとんど帰ったみたいだぞ。誰のトモダチなんだ?」 「陽助……じゃなくて、一虎選手です」 「あの茶トラか。リングドクターと一緒に出てったから、もうここにはいねえんじゃねえかな」  あー。やっぱりもういなかったのかー。そうだよなー。ダメージ大きそうだったからな。じゃあ待ってても仕方ないし、帰るかー。 「そうですか……ありがとうございます。じゃあ俺、これで……」 「待てよ。もうちょっとだけ俺の相手してくれよ。迎えが来るまでヒマなんだ」  と、言われてもなー。初めて会ったちょっと恐そうな人と二人きりなんて……とは思いつつも、逆らうことはできずに促されるがまま椅子に座ってしまった。とりあえず大人しくしていると、刀鉄さんは差し入れを更に物色しながら話しかけてくる。 「お前はここのファンなのか? それともトモダチがいるから観に来てるだけか?」 「ええと……一応ここのファン、だと思います。あんまり詳しくはないですけど」  主にやらしい目で見てるとはさすがに言えない。でも試合そのものはそういう目線抜きにちゃんと楽しんで観てるつもりだ。 「そうか。じゃあ俺のことは知ってるか? ネオジャパンプロレスってところの所属なんだが」 「バラエティ番組とかではよく見てますけど……ネオジャパンそのものはあんまり見てないです……」  と、刀鉄さんの言葉には反応しつつも、俺は目の前でバナナを食べる刀鉄さんの股間が気になって仕方がなかった。ジーンズがとても窮屈そうで、解放してあげたくなってしまう。ああ、駄目だ。今日はまたレオさんの試合後の性処理をさせられるつもりで来てたから、ついそっちの方に考えが…… 「はは、正直に言いやがるな。でもなんとなーく、お前がどういうファンなのか分かってきたぞ」  刀鉄さんはにいっと笑うと、俺を椅子ごと動かしてテーブルに向かう位置へ。そして自分は俺の目の前、テーブルに腰を下ろした。これは……まずい予感がする。 「ところで俺は今日、ネオジャパンの方で試合終えてからこっちに来たんだよ」 「はあ。人気レスラーは忙しいんですね……」  ネオジャパンの方では今日、早い時間に大会があったんだな。どこかでポスターを見たような気がする。 「そうだ。こっちでは試合はなかったから構わないんだが……ちょっと問題があってな」 「どんな問題です?」 「俺はいい試合をした後、勃起がおさまらなくなるんだよ。いつもはうちの若いのに頼んでるんだが、今日はその時間がなくてな」  ほほう、それでこんなに窮屈そうに。これはやはり俺が……でも初めて会った刀鉄さんにいきなりそんなこと申し出るのもなあ。それに俺には光彦(ミツヒコ)さんという決まった相手が……諸事情で色々な相手と色々することになってるけど、好きな人に操を立てたい気持ちはある。 「だから……お前には特別に俺様のチンポをしゃぶらせてやろう。どうせお前、レスラーをやらしい目で見てるタイプのプロレスファンなんだろ。分かるんだよ、今までお前みたいな奴は何人も……なんだよ、最後まで言わせろよ。スケベな奴だなあ」  刀鉄さんの言葉の途中で、俺は目の前のジーンズの前を開け、パンツの前開き部分から硬いチンポを引きずり出して口に含んでしまっていた。ああ、我慢するつもりだったのについ……もう後戻りはできないので思い切りやってしまうことにする。  まずは舌で。汗や汚れをこそぎ取るようにチンポ全体を舐めてから、カリ首も、カサの裏まで丁寧に舐める。先端だけでなく、根本やタマの方もしっかりと。それから鈴口まで戻ってきて、溢れていた先走りを味わう。それから改めて先端から口に含むと、大きな手が俺の頭の上に置かれた。押さえつけるわけでもなく、俺の髪を指で弄くっているだけだ。 「たまんねえなあ。やっぱりチンポ好きのスケベな奴は、最初っから食い付き方が違うよな。うちの若いのも俺好みのドスケベになるように指導してるんだが……天然モノには敵わねえなあ。あー、それ、いいぞっ」  刀鉄さんの言葉のことは深く考えないようにしておいて。口をすぼめて、狭い穴をこじ開けさせるように刀鉄さんのデカいチンポを呑み込み、頭を動かして刺激していく。奥まで呑み込むと、チンポの大きさがしっかりと感じられる。刀鉄さんの体格やその存在感、迫力に負けない太くて硬い、力強く反り返ったチンポだ。  しばらく夢中でしゃぶっていると、刀鉄さんは自分からチンポを動かし始めた。それに合わせて俺も責めを激しくしていくと、どうやら射精が近付いてきたようだ。 「そろそろ出ちまいそうだ。このまま口ん中に出しちまってもいいか?」  返事の代わりに刀鉄さんの腰にしがみついて、自分から喉奥まで呑み込んで刺激する。 「よしっ。じゃあ出すぞっ。受け止めろよっ! おおおっ……」  刀鉄さんは少し腰を引いて、喉奥ではなく口の中にたっぷりと射精する。どろりとした感触で、かなりきつい味のザーメンだ。それでも最後の一滴まで搾り出して飲み下す。最後に硬いチンポを丁寧に舐めてからパンツの中に収める。 「あー、すげえ気持ち良かったぜ。ありがとな」  テーブルから降りた刀鉄さんに促されて立ち上がると、俺は思いきり抱き締められた。少し痛いぐらいのその感触がなかなか心地良かった。まずいなあ。俺には光彦さんがいるから、好きになっちゃったら困る…… 「お前のも抜いてやろうか? すげえ硬くなってるぞ。俺ももう一発ぐらいは軽いから、欲しかったらケツ掘ってやってもいいぞ」 「い、いえっ。それは……その、帰ってから自分でなんとかするのでっ!」 「そうか? まあ、俺もやっと迎えが来たみたいだし、帰るかな。お前も送っていってやろうか?」 「あ、大丈夫です。近くなので。じゃあ俺、お先に失礼しますっ」 「おう。またなー。次はケツ掘らせろよー」  これ以上一緒にいたら色々とまずいことになりそうな気がするので、先に帰ることにした。 「今日はまた新たなメンバーを紹介するぞっ」  どたどたとうるさい足音を立てながら訓練室に入ってきたのはやたらと体格のいいおっさん。もう爺さんと言われても仕方のない年齢のはずだけど、その身体はいつまでも逞しくて若々しく見える。この研究所の所長、望月銀(モチヅキ・シロガネ)ことシロガネ博士だ。 「この間増やしたばかりなのでは? こちらではまだ会っていないが、確か緑河(ミドリカワ)部長が……」  服を着ながら博士の言葉に反応する青木龍一(アオキ・リュウイチ)さん。そう言えば青木さんも緑河さんも同じ会社だったっけね。どちらもそっちの本業が忙しいのでこっちに顔を出す機会はどうしても少なくなってしまうようだ。 「一人増やしてもこれだけしか集まっておらんじゃろう。しかし全員にこちらを本業にして今の仕事をやめてもらうわけにはいかん。というわけで、時々しか来られなくとも素質のある者をスカウトして、メンバーを増やすことにしたんじゃあ」 「確かに……出動できるメンバーが足りないのは実感しています。そもそも我々ブレンジャーは合体しなければ戦えない以上、実際に出動したときの人数は半分になってしまいますからね」 「うむ。というわけで今日の新メンバーじゃあっ。二人とも、驚くなっ。我々と共に戦ってくれるのはこの男じゃあっ!」  博士がポーズを付けて誰かを招き入れる。直後、部屋に入ってきたのは…… 「おうっ。俺様はネオジャパンプロレスの歳桃刀鉄だっ! 今日からブレンジャーってのに入ることになったぞ。よろしくなっ!」  まさかの新メンバー……頼もしいけども。他のメンバーより忙しいんじゃないだろうか。 「あれ、お前……おお、この間俺のチンポうまそうにしゃぶってたドスケベ小僧じゃねえか」  ……そうだけども。こんなところで言わなくてもいいのにー。 「ここにいるってことは、お前もブレンジャーってやつなんだな? じゃあ……約束通り、お前のケツ掘ってやれるな」  約束はしてないような気がするけど、同じブレンジャーになってしまった以上、合体のためにはセックスしないとならないんだよなー。仕方ないよなー。今後は訓練と称して刀鉄さんと何度もセックスをしなければならないなー。うーん、身体がもつかなあ。 「で、お前はどうしたんだ」  青木さんは驚いた表情で固まっていた。刀鉄さんが入ってきたときからか。声を掛けても反応がなかったので、刀鉄さんが太い指でデコピンをかます。 「あいてっ!」 「そんなに緊張するほどか? もう何度も顔合わせてるだろ」 「あ、青木さんとお知り合いですか?」  二人の関係を刀鉄さんに尋ねようとしたら、すごい勢いで青木さんが遮った。 「いやいやっ、私が一方的にファンというだけだっ。サイン会やらその他諸々のイベントで何度も会いに行っているから、顔を覚えていただいただけでっ!」  あ、そういうことか。でもなんかアヤシイ感じ。いつもは穏やかで優しい青木さんだけど、今日は何だかおかしい。そんな青木さんの様子を見て、刀鉄さんは何だかいやらしい笑みを浮かべている。 「こいつはまだガキの頃からずっと俺を応援してくれてるんだよ。一度団体が潰れちまったときも、ずっと離れずに応援してくれた貴重なファンなんだ。な、リューイチ」 「はっ、その、恐縮です……」  肩に手を回されて、青木さんはすっかり縮こまっている。まさかこんなところで顔を合わせることになるとは思わなかっただろうなー。そして今後は肌を合わせることにもなるのかー。 「青木さんプロレス好きだったんですねー。どちらかというと赤畑(アカハタ)さんの方がそれっぽいのに」  赤畑鷹雄(アカハタ・タカオ)さんもブレンジャーの一員だが、残念ながら今日ここにはいない。博士の助手だからいつもここにいる俺以外は、いつもみんな忙しいなあ。当たり前だけども。 「あいつは総合格闘技の方が好きなんだ。自分自身も格闘技をやってるからかな。誘えばプロレス観戦に付き合ってくれるし、興味がないわけでもないみたいなんだが」 「あ、青木さんって赤畑さんと仲良かったんですね。いつもどちらかというとぶつかり合ってるようなイメージだったんですけど」 「いや、仲が良いというわけではないんだ。ただ一緒に食事に行ったり、お互いプロレスや格闘技の観戦に誘ったりするだけで」  それは普通に友人なのでは、と言おうとしたけど更に言い訳が続きそうなのでやめておいた。こんな余計な話はまたいつでもできる。今話すべきは刀鉄さんのことだ。 「博士、刀鉄さんはもう改造済みなんですね?」 「うむっ。合体の仕方も説明してあるから、今日からでも合体の訓練を初めてほしい。彼も忙しい身じゃから、できるときにしっかりやってくれっ!」 「だとよ。じゃあとっとと始めるか。お前、名前は?」 「白石虎次郎(シライシ・コジロウ)です。好きなように呼んで下さい」  俺が名乗ると、刀鉄さんは少し驚いたような表情を見せた。 「俺が指導してやってる後輩と名前の読みがちょっと似てるな。平石晃司(ヒライシ・コウジ)って言うんだが」  シライシとヒライシ。コジロウとコウジ。確かにちょっとだけ似てるかも。 「俺の中で紛らわしいから、お前のことは……そうだな。コジローでいいか。コジロー、とっとと俺様にケツ掘らせろよ。合体の訓練ってつまり、お前のケツを掘りまくる訓練なんだろ?」 「まあ、そうなんですけど……俺だけじゃなくて青木さんとかとも訓練しないと」 「ああ、他の奴のケツも掘ってやらないとな。でもリューイチはいいや。もう必要ないだろ」 「え、どうしてですか?」 「どうしてだろうなあ? リューイチ、説明してやれよ」  急に話を振られて、青木さんは顔を真っ赤にしてうつむきながら、ぽつぽつと話し始めた。 「私は、刀鉄さんとは……長くて。十年は前になるだろうか……刀鉄さんに、その、男の味を、覚えさせられたのは。その時からずっと、私は刀鉄さんの……相手をしているんだ。刀鉄さんは私の責め方をもうすっかり把握しているから、自分が射精するタイミングに合わせて私をイかせることなんてたやすいようなんだ。まあ、最近は相手をする回数も減っているんだが……」  ふへえ。二人がそんな関係だったとは……青木さんは隠したかったんだろうけど、ブレンジャーの性質上、いつまでも隠しておけることじゃないよね。 「俺が一発出す間にこいつが何度もイっちまうからな。その何回かのうちの一回にこっちが合わせればいいだけだ。同時にイく訓練なんていらねえよ」  へええ……そうだったのかあ。青木さんは普段タチなんだと思ってたけど、そういうわけでもなかったんだな。むしろあのテクニックはウケの気持ちが分かるからこそなのかも。 「リューイチの話はまたそのうちしてやるからよ、とっとと始めようぜ。お前らさっきまで二人で合体の訓練してたんだろ? じゃあもうほとんど準備万端だよな」 「あ、はいっ。もう……その、ある程度ほぐれてると、思います」  青木さんと問題なく合体を成功させ、すぐに合体を解除したところで博士が来てしまったので、俺の尻は……早い話が一発掘られた直後の状態だ。刀鉄さんのチンポは青木さんのより大きいけど、問題なく入ってしまうだろう。 「よし。一発で成功させてやる」  刀鉄さんが服を脱ぎ始めたところで、博士が割って入る。何かを手に、俺の目の前までやってきた。 「ああ、合体する前に言っておかなければならないことがあるんじゃあ」 「なんだ、早くしてくれよ。あんまり我慢させると博士、後ろからぶち込んじまうぞ」 「それは後でなら別にしてくれても構わんが……まず改めて説明するが、この歳桃刀鉄ことバーサーカー・ピンクの能力は強力じゃが扱いが難しい。そこで、白石。お前さんには特別に、サポートの立場からでも合体を強制解除できるようにしておきたい。いざとなったらお前さんの意志でバーサーカー・ピンクを止めるんじゃあ」  俺の能力は合体したパートナーの能力をパワーアップさせるブースターだから、合体するときは基本的にウケ……いや、サポートだ。合体後の身体の主導権はタチになった方……ベースの方にしかなく、サポートは意識も感覚もあるけど何もできないのだ。それが、合体の強制解除だけはできるようになるってことだな。しかしバーサーカーか……危なそうだなあ。どんな風に危険なのかはその名前だけで何となく分かるような。合体中の刀鉄さんが暴走したら合体を解除して止めろってことだな。 「はい、博士。それで、俺はどうすれば?」 「これを飲むんじゃあ。お前さんの体内にある制御装置に機能が追加されるぞう」  手渡されたそれは……小瓶に入った、なんだか白く濁っていてどろりとした液体。どうせ飲まなきゃならないんだから、躊躇ってないで一気に飲み干す。ああ……やっぱりザーメンみたいな味だ。それも、臭いと味が特にきつくて飲みにくいやつの味だ。うう、喉に絡まるよう。どうして博士の用意する薬とかってこんなのばっかりなんだろう。 「くっせえなあ、それ。ちょっとマウスウォッシュかなんかしてこいよ。キスもできねえだろ」 「はい……」  すぐにでも始めたいけど、自分でも口の中の感触や臭いが気になって仕方がないので一度服を着て洗面所へ向かう。口の中に少し残っている薬(?)の成分を一応水で流し込んで飲み下してから念入りにマウスウォッシュ。ついでに歯磨きも。それから訓練室へ戻ってくると…… 「あああっ、そこは、駄目、ですっ、あああああっ!」 「相変わらずの感じっぷりだな。また今度、たっぷり掘ってやるから今日は指だけで我慢しろよ、な」 「はいっ、ああ、刀鉄さんっ、あああっ……」  さっき服を着たばかりの青木さんはまた脱がされ、同じく裸の刀鉄さんに尻を弄られていた。太い指で掻き回されて、声を上げて感じている。いつもの穏やかで優しい、頼りになるお兄さんという感じの青木さんのイメージとはかけ離れた姿に……ちょっと親近感。  それを見ながら俺はすぐ隣でまた服を脱ぎ、訓練の準備を始めた。さっき掘られたばかりの自分の尻穴を、ローションを付けた指で好くし弄くる。刀鉄さんのは青木さんのよりも大きいのが分かってるので、あらかじめもう少し広げておくことにする。 「どれ、ちょっと俺にも弄らせろ」  俺の行動に気付いた刀鉄さんは、空いている方の手を伸ばしてきた。自分の指を引き抜いて、尻穴を広げて待つとそこに太い指を突っ込まれ、もぞもぞと探られる。 「もう準備万端だな。ぶち込んでも大丈夫そうだ。よし」  俺と青木さん、それぞれの尻を弄っていた指を引き抜いてティッシュで拭う。それから仰向けに寝かせた俺の両脚を担ぎ上げて、割り開いた尻穴にローションを塗りたくったチンポを突き込んできた。 「おおっ、ぬるっと入ったぞ。さてはお前、普段からデカいの挿れられ慣れてるな?」 「はいい、すみません……」 「謝ることはねえよ。手間が省けて助かるぜ。それに、おお……ちゃんと、締め付けてくるしなっ。いい穴だぜ」  刀鉄さんのチンポが俺の尻の中をゆっくりと動く。奥まで突き挿れて、ゆっくり掻き回すように。それからまたゆっくり引き抜きながら内壁をえぐる。プロレスラーとしてのキャラクターのイメージのわりに、丁寧で優しい抜き差しが誰かのやり方に似ているような……あ、青木さんだ。そうか。自分が刀鉄さんにやられる時のように、いつも俺の尻を掘ってるんだな。  青木さんのチンポも充分気持ちいいけど、刀鉄さんのようにデカいのでないと味わえない快感もある。掘り方はよく似ていても、快感は変わってくる。自分が比較的デカいのに掘られ慣れているせいか、こっちの方が気持ちいいかも。あー、そこ、奥の方をえぐられるのがいまらない。  ゆっくりとした動きのまましばらく掘り続けられると、俺のチンポはどんどん汁を溢れさせる。それを見て刀鉄さんは満足そうに笑みを浮かべながら、少しずつ責めを激しくしていく。力強い抜き差しに俺は何も考えられなくなり、刀鉄さんの大きな身体にぎゅっとしがみついた。  その後のことははっきりしない。一瞬意識が飛んでいたのかも知れない。ただ、刀鉄さんがキスをしてくれたような気がする。その後、「そろそろ出すぞっ。お前ももう一回イけ!」とか言われたような。気がついたらもう合体していて、俺の意識は刀鉄さんの中だった。 「ブレンジャー……バーサーカー・ホワイト、ピンク……」  合体後の身体を支配している刀鉄さんが名乗りを上げる。だが、様子がおかしい。セックスの直後で息が荒い、というのとは明らかに違う。違う意味で興奮してしまっているような…… 「敵は……どこだああっ!」  ベッドからぴょんと跳んで、一回転して着地。研究所が少し揺れたような感じがする。刀鉄さんは視線をふらふらと動かし、青木さんをスルーして博士を捉える。 「てめえ……クロガネっ! ぶちのめしてやるっ!」  シロガネ博士を誰かと見間違え……ああ、シロガネ博士のお兄さんがクロガネって名前だっけか。俺達ブレンジャーが戦うべき相手、ビーストライブはクロガネ博士の研究によるものらしい。刀鉄さんはクロガネ博士と会ったことがあるのかな。 「おっと、危ないぞう。儂はっ、シロガネじゃあ。と言っても、聞いては、おらんじゃろう、なあっ」  刀鉄さんが博士に対して攻撃を仕掛ける。腕を振るい、脚を振るい、掴みかかり……それらを意外にもひょいひょい避けていく博士。今のところ余裕そうに見えるが、それもいつまで続くのか……  ここにもう一人ブレンジャーのメンバーがいれば青木さんと合体して対抗し、止めるこことはできるかも知れないが、残念ながら一人ではどうにもならない。青木さんは助けを呼びに訓練室の外へ……出ようとしたら、そこに誰かが入ってきた。刀鉄さんもそちらを見る。 「ビーストライブは……俺がぶっ倒す!」  刀鉄さんがそちらへ向かっていく。いきなり襲いかかられ、驚きつつも咄嗟の判断で刀鉄さんの腕を掴み、そのまま勢いを利用して投げ飛ばす。一応プロレスラーらしい動きを見せたのは陽助だった。今は一虎として虎の姿のレスラーとして頑張っているが、その姿はビーストライブの一員として改造されてしまったものだ。冷静な判断力を失っているらしい刀鉄さんは、顔見知りであるはずの陽助を敵と見間違えてしまったようだ。 「えっ、これ、何なんだっ、博士、ちょっと、うああああっ!」  俺は刀鉄さんの中で、空中に投げられる不快感なんかを味わったりしながらただぼんやりと戦いを見ていた。刀鉄さんは空中で体勢を整えると壁を蹴り、陽助へと飛びかかる。連続で振るわれる腕や脚による攻撃を陽助は辛うじてかわしていくが、その速度はどんどん増していく。やがて、見えないほどの速度で振るわれた腕に打ち倒されて陽助は倒れた。  刀鉄さんは陽助を踏みつけてから、博士の方へ視線を向ける。そして一瞬で距離を詰め、博士の首をがっしりと掴んだ。俺にも伝わってくる、しっかりと筋肉のついた太い首の感触。だが今の刀鉄さん……バーサーカー・ピンクの力ならば簡単に握りつぶしてしまいそうだった。 「そうだ、白石君! さっきの……聞こえているかっ!? 強制解除を!」  声に反応し、刀鉄さんが視線を向ける。時間を稼ぐためか、敵うとは全く思えない青木さんが向かってきていた。それを刀鉄さんが軽く振り払った瞬間、ぼんやりしていた俺の頭が少しすっきりした。恐らくはサイキック・ブルーの力だ。合体前でわずかな力しか使えないため、攻撃のために直接触れた一瞬で俺に心を刺激したのだろう。  強制解除の詳しい方法は教わっていなかったが、それを意識するとすぐに分かった。そもそもブレンジャーの合体には絶頂エネルギーとかいうものが必要になるらしい。合体状態を無理矢理終わらせるには、エネルギーを無理矢理排出してしまえばらしい。というわけで、栓を抜くようなイメージで、その機能をを実行する。 「んん、んぐううっ、うう、うがああああっ!」  刀鉄さんが叫び、その身体が大きく仰け反る。同時に、俺にもその感覚が伝わってくる。強すぎる快感。特に敏感なところを思い切り刺激されて強制的に射精させられ、そのまま休まずに責め続けられるような……  気がつくと俺は刀鉄さんと重なるようにして床に転がっていた。二人とも身体は大量のザーメンらしきドロドロの汁にまみれていた。あまり力が入らない身体を起こすと、壁にもたれて座っていた博士がぽつりとつぶやいた。 「ううむ……バーサーカー、強力すぎたか……」 「博士……もう少し、使いやすくならないんですか……」  いくら強力な戦闘能力があっても、これは危険すぎる。顔見知りでも攻撃してしまうような判断力では、実際に出動したときに何があるか分からない。 「うむ……調整が必要じゃなあ……儂が許可するまで、バーサーカー・ピンクとの合体は禁止じゃあ。訓練をする場合も、どちらかがヒーローモードではない状態でするようにな」 「はい……そうします……」  改めて部屋の中を見回す。刀鉄さんは寝ているだけのようだし、青木さんも怪我まではしていないようだった。そして刀鉄さんのラリアットを思いっきり喰らった陽助は…… 「やっぱり刀鉄さんも格好良いよなー。あー、リングコスじゃなくてもすっげえエロい……博士ー、このザーメン舐めても大丈夫かな?」  ……心配する必要もなかったか。 「問題ないぞう。それは普通のザーメンじゃあ。ヒーローモード時の疑似精液でもないぞう」  はっ。言われてみると……すっきりしてるというか、キンタマが軽いような感じというか……ああ、帰ったら光彦さんと普通のセックスをしたかったのになー。  出動命令を受けて向かったのは、近所にあるごく普通の商店街だった。商店街全体を警察が封鎖していて、どうやら一般人の待避も済んでいるらしい。 「さあ、合体して戦うんじゃあっ!」  車を運転していたシロガネ博士が俺達に言う。しかし今ここにいるブレンジャーのメンバーは、ブースター・ホワイトの俺とストレングス・レッドの赤畑鷹雄(アカハタ・タカオ)さんだけ。博士は他のメンバーにも呼びかけているが、本業のあるメンバーはなかなか集まらない。 「この二人じゃあ他に選択の余地はねえな。よし、とりあえず脱げっ」 「はい」  今更ここで躊躇う理由もない。広い車の中は外から見えないようになっているので、安心して合体できる。先に全て脱ぎ捨てた赤畑さんに下着や靴下まではぎ取られ、俺を四つん這いにさせる。俺の尻たぶを掴んで割り開き、そこに顔を埋めて舐めてきた。 「はああっ……」  舌で入り口をくすぐるように舐めたり、舌先を穴にねじ込んだり。状況が状況なので長い時間は続けず、舌が離れるとローションを付けた指が入ってきた。舌で少しほぐされたおかげか、俺の穴がゆるくなってるだけか、太い指が抵抗もなく入ってきて、俺の感じるところをまさぐる。 「あああっ、そこ、気持ちいい、ですっ……」 「あんまりデカい声出すなよ。外には警察がわんさかいるんだぞ」  そうだった。俺は慌てて口を閉じ、声を出さないように我慢する。赤畑さんの指の動きも変わり、俺の弱いところをなるべく避けつつ穴を広げるように掻き回す。指を増やされていき、俺の尻穴はさほど時間もかからず充分に広げられた。 「そろそろいいな。いくぞっ」  指が引き抜かれると、すぐにもっと太くて硬いのが突っ込まれた。ほぐされててもやっぱり最初だけはきつい。しかし、少し我慢していれば。すぐに慣れてきてしまう。最近は色々な人のデカいのでケツを掘られる機会が増えて慣れてきてしまったためか、快感に変わるまでが早くなってきた気がする。  俺は近くにあったクッションに顔を埋めて声を我慢しながら、尻の入り口から奥までをごりごりと力強くえぐられる快感に耐える。もう俺のチンポは無理矢理押し出されるように汁を漏らしっぱなしだった。そこに更に、赤畑さんの手が伸びてきてチンポを扱いてくる。 「うっ、くうう、うう、うああ、あああああっ!」  我慢などできるわけがなく、俺は大きな声を上げて思い切り射精してしまった。それを追いかけるように、赤畑さんは自分のチンポを激しく抜き差しさせて、俺の中で射精した。 「よし、俺も出るぞっ! おおおっ……」  合体は無事に成功し、俺の意識は赤畑さん……ストレングスの中だった。意思の疎通は一切できず、俺は身体からは動かすこともできないが、ストレングスが受けた感覚だけは伝わってきたりする。 「では行ってこいっ。儂はここで他のメンバーに招集をかけ続けるっ」 「期待しないで待ってるぜ」  ストレングスが車を降りると、近くの警察官が一斉にこちらを見る。ストレングスの身体は、赤地に白いラインの入ったバトルスーツで全身を覆われている。素材はよく分からないがとにかく丈夫だ。 「お疲れ様ですっ。現在、獣頭の集団が商店街を荒らしています。目的は不明。なお、一般人は既に避難済みですっ」  警察官の一人が敬礼をしつつ声を掛けてきた。もう何度か警察と協力してビーストライブを撃退しているので、特にここでのトラブルはない。 「分かった。じゃあ行ってぶっ倒してくる。お前達はしっかり封鎖しててくれよ」  ストレングスは警察達を跳び越えて商店街の中へ。走っていくと、それはすぐに見えた。熊の覆面……いや、一時的に獣化したビーストライブ・ソルジャーズだ。それが六人。多くはないが、もしかしたらまたどこかに特別製のコマンダーが隠れているかも知れない。更に近付いていくと、ソルジャーズがこちらに気付く。 「来たぞ、ブレンジャーだ! コマンドーを連れてこいっ!」  六人のうちリーダー格と思われる一人が声を上げると、他の奴が二人がかりでそれを連れてきた。大きな白熊型の改造人間。いわゆる白熊……ホッキョクグマとは何かが違う気がする。別の種類の熊がモデルなのかも知れない。抱きついたら心地よさそうだ。  白熊は毛皮の腰巻きとベルト、そして左胸を守る胸当てを身につけていて、サンダルのようなものを履いている。昔のヨーロッパの戦士みたいな感じだろうか。剣闘士とか……にしては武器もなにも持ってないなあ。 「さあ、ビーストライブ・コマンダー、ウォーリアー・ベアよ! あいつを倒せっ!」  リーダー格が指示を出すと、白熊は両手を天に掲げた。すると、その手の中に半透明で光り輝く剣と丸い盾が出現した。何らかの方法で手元に転送した、と言うよりはエネルギーを剣の形で実体化した、という感じだろうか。それに見とれていたら、いつの間にかソルジャーズはどこかへ隠れてしまっていた。とりあえずこいつの相手をするしかないようだ。 「ふん。どんな相手だろうと俺がぶっ倒してやる。ブレンジャーストレングス・ホワイトレッド、行くぞっ!」  ストレングスはまず、いつも持っているゴルフボールを高速で投げ飛ばした。それは白熊の盾で受け止められ……弾かれたりもせず、完全に勢いを失って地面に落ちた。 「それぐらいじゃ効かねえってか。それならっ……」  身体能力を強化するストレングスは、もちろん脚力も強化されている。あっという間に間合いを詰めて、拳を叩き込む。しかしそれも盾で防がれてしまう。殴った感触が俺にも伝わってくる。硬くはない。ただ、殴った手応えが何もない。ぶつかる前に勢いを完全に殺されて止められてしまっている、という感じだろうか。 「何だ、こりゃあ……インチキくせえ盾使いやがって! 防がれなきゃあいいんだろ!?」  ストレングスが白熊に向けて何度も拳を叩き込む。しかしどんな方向からの拳も、そこに盾が吸い寄せられているかのように不自然に素早く動いて、全て受け止めてしまう。 「無駄か……じゃあこれならどうだ!」  ストレングスの腕がふわりと動いて白熊の腰に触れる。直接の攻撃でなければ防がれないのか。そこから両腕で白熊の身体をがっしりと抱え込み、引っこ抜くように後ろに放り投げる。そのまま投げた勢いを利用して馬乗りになった。その途中で剣と盾は白熊の手から離れると消えてしまった。 「へっ。盾はインチキだったが、戦いは素人だったな。さあ、制御ユニットはどれだ?」  尋ねながら、白熊の顔を一発殴る。うーん、この感触はどうしても好きになれない。効いているのかいないのか、白熊は表情を変えず、一言もしゃべらない。 「まあいいや。それらしいのを全部ぶっ壊してやる」  と、ストレングスは言うが……白熊が身につけているものなんて限られている。まず、消えてしまった剣と盾は違うだろう。あとは胸当てに、バックルの大きなベルト、そして毛皮の腰巻き。あとはサンダル。その中からストレングスがまず目を付けて殴りつけたのは…… 「いってえ。こっちは随分かてえなあ。こりゃただの防具か」  胸当ては硬かった。拳の痛みが一部、俺にも伝わってくる。痛いよう。 「じゃあこっちだな? よし……うおおっ!」  ストレングスが白熊のベルトに手を掛けようとしたところで慌てて飛び退く。白熊の手には再び光る剣があった。起き上がった白熊が、何度もその剣を振るってくる。ストレングスはそれを必死で避けていき、上から振り下ろされる時にタイミングを合わせて左右両側から剣そのものを殴りつける。手応えがあった。盾とは違い、剣は跡形もなく砕け散ってしまった。更に殴りつけられる前に、白熊は後ろに飛び退いた。 「どうやら……盾がインチキなだけ、みたいだなっ!」  ストレングスがゴルフボールを投げる。それはベルトのバックルに向かって飛んでいくが再び現れた盾に防がれてしまった。 「またそれか……まあいいや。お前がガス欠になるまで同じこと何度でも繰り返してやる。こっちは何度だって合体すればいいが、そっちはそうも行かねえんだろ?」  絶頂エネルギーを利用するブレンジャーとは逆で、ビーストライブは禁欲エネルギーというものを利用するらしい。消耗してしまえば、またすぐに補充、というわけにはいかないもの……のはずだ。あの盾だってエネルギーを使わずに使えるものじゃあないだろう。多分。  ストレングスの言葉で、白熊は少し思案するような表情を見せてから、盾を消し去った。代わりに、両手を合わせて天に掲げる。 「……テンパランス・オーバードライブ」  来た。それはビーストライブ・コマンダーの必殺技とも言えるもの。普通の禁欲エネルギーよりも強力な、寸止めエネルギーを利用して強力な力を使うものだ。白熊の股間では腰巻きを持ち上げて剥き出しのチンポが勃ち上がっていた。どうやら下は何も穿いてなかったようだ。もっと見たいけどもストレングスはあまり視線を下に向けてくれないのでよく見えない。 「何だよ、そりゃあっ!」  ストレングスはそれを見て驚きの声を上げた。白熊が掲げる手の中には剣が出現していた。ただし、家一軒を真っ二つにできそうな大きさのものが剣と呼べるのなら、だが。  巨大な剣がとんでもない速さで振り下ろされる。ストレングスはそれをなんとか両手で受け止めるが、身体にのし掛かる重みはかなりのもので、そこで動きを止められてしまった。先程のように砕くのは難しそうだった。 「ぐっ……駄目だっ、こっちが……ぬううう、うおおおおっ!」  ストレングスは一時的に筋力を強化して剣を押し返し、すぐに退避する。そのまま白熊に背を向けて逃げる。 「時間切れだっ! 一旦車に戻るぞ!」  残り少ない絶頂エネルギーが無くなる前に商店街を走る。警察を跳び越えて車へ駆け込む。扉をしっかり閉めてから合体が解除される。 「おお、戻ったか!」 「駄目だっ! ストレングスの力だけじゃあ相性が悪い!」 「そうか……じゃが安心しろっ。たった今応援が来たところじゃあっ!」  車の中は人数が増えて少し手狭になっていた。来てくれたのはプロテクト・イエローこと黄塚麟太郎(キヅカ・リンタロウ)と、メタモルフォーゼ・ブラックこと玄川武(クロカワ・タケシ)の二人だった。玄川さんがこうしてして出動してくるのは珍しい気がする。 「よし、丁度いい。黄塚、お前は白石と合体して盾になれ。俺は玄川と合体して後ろから攻撃する」 「はーい。じゃあコジ君、えっちしようか。さっきタカさんのが入ってたなら、僕のすぐに入るよね」  麟太郎は俺を仰向けにさせて、すぐに自分のチンポを突っ込んできた。麟太郎のチンポは普通の大きさなので、もうデカいのに慣れてしまった俺の尻には簡単に入ってしまう。気持ちいいところに丁度当たるようなギリギリ届かないようなもどかしさに、俺はつい自分から腰を動かして誘導してしまう。 「あー、コジ君のお尻、すごく気持ちいいよ……コジ君ももっと気持ち良くなってよ」  麟太郎が俺の身体のあちこちをまさぐる。脇腹をくすぐるように撫でたり、乳首をつまんだり。それから俺のチンポから漏れてきた先走りの滑りを借りてチンポを扱いたり。赤畑さんとのセックスのように激しい気持ち良さははないが、じわじわと追い詰められていくのはなかなかいい。  隣では仰向けに寝転がった赤畑さんに、玄川さんが跨って腰を振っている。赤畑さんは快感に顔を歪ませながらも、しっかりと下から突き上げて玄川さんの尻を掘っていた。玄川さんは余裕のありそうな笑みを浮かべているが、チンポは汁を漏らしっぱなしだ。 「ああ、駄目だっ、もう出ちまうっ……玄川っ、お前はまだか!?」 「いいぞっ。お前が俺のチンポ握ってくれれば……そうだっ、あー、たまんねえっ!」  そんな声を聞きながら、こちらも合体へ向けて追い込みを掛ける。麟太郎が俺のチンポを扱きながら激しく尻を突いてくる。耐えきれずに俺が先に射精してしまうと、我慢していたのか麟太郎もすぐに俺の中で射精した。  そして気がつくと、俺は麟太郎の中だ。先に車を降りた赤畑さん……ストレングス・ブラックレッドの後を追って、警察を跳び越え……なんて真似はできず、少し道を空けてもらって商店街の中へ。さっき戦っていた場所に近付くと、前に出るようにストレングスに促される。麟太郎……プロテクトはストレングスを守るように立ち、相手を挑発する。 「えーと、ブレンジャープロテクト・ホワイトイエロー。お前なんか……えーと、ぬいぐるみの代わりに抱いて寝てやるー!」  残念ながら迫力がなさ過ぎた。いざというときは頼りにならなくもないんだけどなー。しかし相手はこんなふにゃふにゃした敵に対しても本気になってくれたようだ。 「テンパランス・オーバードライブ」  白熊がまたあの巨大な剣を掲げる。剣が大きすぎるので、この商店街で振れる方向は限られている。なのでタイミングさえ合わせられれば避けることも難しくないはずで、先程のように……そして今回のように、受け止めることもできる。防御能力に秀でたプロテクトの力のおかげか、身体にのし掛かる重さはあまり感じない。  先程のようにこちらのエネルギー切れで押し切れると思ったのか、白熊は剣を強く押しつけてくる。しかし今、ここにはブレンジャーがもう一人いる。  身体を様々な形に変化させられるメタモルフォーゼの力を得たストレングスは、見えにくい位置から腕を伸ばして白熊のベルトを掴んで引きちぎる。そこに繋がっていた毛皮の腰巻きが地面に落ちて、白熊は硬く勃ち上がったチンポを晒すことになった。麟太郎はそれをじっくりと見る余裕があるようだ。うーん、結構デカいなあ。皮余り気味だけども。  すぐ近くではストレングスがベルトのバックルを地面に叩き付け、更に何度も踏みつけている。丈夫なバックルにしばらく手こずっていたが、そのうち白熊の動きが止まり、剣が維持できずに消えった。そして胸当てとサンダル、腰巻きの残骸はバックルに吸い込まれるように消えてしまった。後には白熊の身体だけが残る。そして…… 「おお、あああ、あああああっ!」  声を上げ、大きな身体を何度も震わせ、仰け反らせながら射精した。寸止めエネルギーを利用するためには射精直前での寸止め状態を維持する必要があって、そのタイミングで制御ユニットが壊されたことでエネルギーに頼った分、もの凄い勢いの射精をすることになる。気持ち良さそうだけども、快感が強すぎるのかみんなこれで気を失ってしまうようだ。気軽に経験するものじゃあないだろう。  射精が終わると後にはザーメンまみれの白熊が残った。やっぱり気を失っている。今回もこれで洗脳も解けていてくれればいいんだけどねー。俺もぬいぐるみ代わりに抱いて寝たい。普段そんなことしてないけども。 「コマンダーがやられたっ! 全員撤退しろっ! 我々六人だけでは勝ち目はないぞっ!」  どこかからそんな声が聞こえて、どたどたと足音。残念ながらソルジャーズは逃げてしまったようだ。今日はこんなところに何しに来たんだろう? あそこの宝飾品店でも狙ってたのかな。まあ、どんな被害があったかは警察が調べてくれるだろう。  白熊を連れて研究所に戻ったら、赤畑さんと玄川さんは用事があるのかどこかへ行ってしまった。というわけで麟太郎と共に白熊の目覚めを待つ。抱きついてみたら意外と毛がごわごわしていてあまり気持ち良くなかった。起きたら毛がふわふわになるように良い感じのシャンプーでもしてあげよう。そしてもふもふしたい。 「ふむ。ホッキョクグマ……ではないな。シロアメリカグマか。スピリットベアなどとも呼ばれる……お、目を覚ましたぞう」  白熊が目を開き、ぼんやりとした表情で博士と麟太郎、そして俺を順番に見る。そしてもう一度麟太郎を見てから博士と目を合わせる。 「博士……どっちっすか?」 「儂は望月銀というものじゃあ」 「あー、良かった……帰ってこれたのかー。俺、ビーストライブに捕まっちまってさー。そこからどうも記憶があやふやで……」  あれ、この人はビーストライブのこと知ってるのか? 今まで洗脳が解けた二人は何も知らなかったみたいだけど…… 「お前さん……どこかで会ったことがあるか?」 「忘れちゃったっすか? 俺、鍛冶川秋穂(カジカワ・アキオ)っす。ザーメンの検査する、って名目でケツ掘ってもらったっす」 「おおっ、あの時の……」  博士の言葉を遮って、麟太郎が身を乗り出して白熊……鍛冶川さんの手を握る。 「秋穂っ。最近連絡取れなかったから心配してたんだよう。まさかビーストライブに攫われてたなんて……もっと早く助けられれば良かったんだけどねー……」 「麟太郎、久しぶり……になるのかな? 今がいつなのかよくわからないけどさ。シロガネ博士と一緒にいるってことは……お前、例の正義の味方みたいな奴に入ってるのか?」 「うん、そうだよ。本業は別にあるけどねー。洗脳された秋穂とも戦ったんだよー」  どうやら二人は以前からの知り合いらしい。かなり仲が良さそうだ。 「あー、そうか。俺も改造されてるんだな。博士、鏡とかないっすか? 自分が今どんな姿なのか気になるっす」 「おお、そうじゃった。ほれ、これでいいか?」  博士が手鏡を手渡すと、鍛冶川さんはそれを覗き込み……何だか満足そうだ。 「熊ならいいや。わりとモテそうだし。あ、そうだっ」  鍛冶川さんは掛けられていた毛布をはぎ取り、自分の身体のある部分……チンポを見つめる。つまんだり握ったりもして確かめる。 「うーん、このままじゃ分かんねえなあ。麟太郎、ちょっと大きくしてくれよー」 「よーし」  名前を呼ばれて、麟太郎は何のためらいもなく鍛冶川さんのチンポをぱくりと口に含む。舌で突っつき、転がすように舐め、根本まで呑み込んだりもしてから口から出す。もうそれは硬く勃ち上がっていた。 「おっ、ちょっとデカくなってる……かな。麟太郎、どう思う?」 「んっ、んん。ちょこっと、デカくなってる、ね。根本まで呑み込むと前よりも少し苦しいよ」 「やったー。改造されるのも悪くないなー。あー、やっぱり麟太郎のそれ、気持ちいいっ……」  どういう風に責めているのか、じゅるじゅると音を立ててチンポをしゃぶり続ける麟太郎。二人はどういう関係なんだろう……身体の関係はあるようだけど、恋愛関係とは違いそうだ。後で聞いてみよう。 「そうだ。秋穂よっ、お前さんに注意しておかなければならないことがあるぞっ。お前さんのようなビーストライブの改造人間は、禁欲エネルギーを使うために自慰行為では射精できなくなっているっ。しかし射精しないでいるとエネルギーが溜まりすぎて危険じゃから、誰かの手を借りて定期的に射精するのが望ましいぞう。できれば毎日射精しておくんじゃあ」 「オナニーじゃイけないのかー……」 「んむっ、それぐらいは僕が手伝うよー。いつでも言ってよ。んんっ」 「おおっ、恩に着るよっ。あー、それ、ああ、出ちゃうっ、おあああっ!」  鍛冶川さんが身体を大きく震わせ、麟太郎の喉がごくりと動く。鍛冶川さんの射精が止まっても、麟太郎はなかなか口を離さない。 「ああ、駄目だっ、それ、くすぐったくて……ああ、りんたろっ、俺、あああああっ!」  結局そのまましつこくしゃぶり続ける麟太郎の口の中でもう一度射精した鍛冶川さんは、疲れたのか満足そうな顔でまた寝てしまった。話を聞くのはまた今度かなあ。  後日。警察の話では、結局商店街への被害は特になかったようだ。本当に、何しに来てたんだろう。向こうもメンバー補充かなあ。  ところであれから刀鉄さんと会ってないんだけど、次はいつ来てくれるのかなあ……こっちから行くしかないか。次に俺が観に行けそうな試合はいつになるかなー。